空き家の再生と活用

 

地域や近隣住民にとって「不安の種」となる空き家の存在。日本ではいまだ新築需要が大きい傍ら、中古住宅の流通はその4分の1程度で、使い手に恵まれない「見放された家」が次々と空き家になっています。その数、実に300万戸以上(*1)。

使い手に恵まれない家が増える要因の一つは、「安心して買える中古住宅が少ない」ということです。「壁の中で骨組が腐っているのではないか」「地震などの災害時にも安全に住み続けることができるのか」-家族の器として求められるハードルは高く、古い家でそれをクリアできるものはまだ少ないと言えます。

もう一つの要因は、「売ろうとしても値のつかない家が多い」ということです。一般的な中古住宅は築20~25年を超えるとタダ同然として扱われる慣習があります。35年の住宅ローンの残債より低い値段しかつかないとなると、それを売って住み替えるという選択もできず、中古住宅流通が滞ることに繋がります。

ライフスタイルの違いから子供や孫に相続されず、売ることも買われることもなく、費用をかけてまで解体されてゆく空き家のなんと多いことか。

私たちが考案した「ヤドカリプロジェクト」(商標登録:第6007740号)では、空き家を改修して長寿命化し、公的なお墨付きを得ることで「住み替えしやすい」家へと変えていきます。改修した家は、実際に「ちゃんとした値で売れる」ようになるため、売却して住み替え、ヤドカリのように空き家を転々としながら一つ一つを豊かな建築として生まれ変わらせてゆくこともできるのです。

白坂が自らの住まい兼事務所として改修した1つ目の空き家は、既に次の住まい手さんの手に渡っています。売却で得た利益を元に、白坂は2つ目の空き家に移り住み、使いながら改修工事を進めています(2022年1月現在)。また、私たち以外にも「ヤドカリ生活」を希望される方にはご協力をさせて頂きます。金沢では別のオーナーによるヤドカリプロジェクトが進行中です。ご興味がある方はお気軽にお問い合わせ下さい。

*1 平成25年度 住宅・土地統計調査(総務省)による。(賃貸用の住宅を除く)

 

■供用完了

「がんばり坂の家」
建築:木造2F/57㎡/1R+ロフト

KMR

 

■供用中・工事中

「竪穴の家」
建築:木造2F/73㎡/2LD+K

KMO

 

■工事中(別オーナー)

「(仮称)押野の家」
建築:木造2F/66㎡/2LDK

KZR

 

■ヤドカリプロジェクトとは

  1. 空家を購入する。
    購入前にインスペクションを行い、比較的健全な住宅を選んで仕入れる。
  2. スケルトンリフォーム(仕上げを剥がす全面的なリフォーム)
    長期優良住宅以上にグレードアップさせ、資産価値を大幅に回復する。この際、既存住宅性能評価や長期優良住宅認定を利用し、性能を公的に証明する。
  3. 自宅兼事務所として使用したのち、世帯構成の変化等に応じて住み替える。
    公的な根拠(戸建住宅価格査定マニュアル)に基づく十分な評価額となるため、住み替えの原資を賄うことができる。

以降、1から3を繰り返し、自分はヤドカリのように移動しながら、足跡となる空き家をひとつひとつ蘇らせてゆく。これが「ヤドカリプロジェクト」です。

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プロジェクト・アイデンティティ

 

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ヤドカリプロジェクト全体スキーム図

 

■失われた「住宅の資産価値」を取り戻す

日本に現存する住宅の評価額は、これまで住宅に投資されてきた累計を遥かに下回っています。

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国交省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会報告書(平成25年6月)参考資料より抜粋

2013年時点で投資累計額は約890兆円であるのに対し、住宅ストックの現在評価額は約350兆円。およそ500兆円も住宅の価値が目減りしています。この原因は、例えば木造住宅の場合、築後20~25年で市場価値がゼロになる日本特有の住宅評価方法に由来するとされています。つまり日本では「お金をかけて家をつくっても、その家の価値はすぐになくなってしまう」と言えます。

この住宅評価方法は問題視されており、近年改められつつあります。例えば長期優良住宅であれば耐用年数は100年など、性能を保証された家は価値を維持できる新しい評価方法ができており、現存する「タダ同然の中古住宅」も、性能が評価されれば耐用年数を回復し「評価額を取り戻す」ことができるようになっています。

ただし、新しい評価方法はまだ不動産取引市場で定着しているとは言えません。ヤドカリプロジェクトは、この新たな評価方法を率先して利用し、「失われた住宅の資産価値(評価額)」を取り戻してゆくプロジェクトです。回復した資産価値は売却時の評価額として反映されるため、公的資金の助力なしで空き家問題を解決していけるプロジェクトとなっています。

 

■性能保証された中古住宅を、適正な評価額で市場に戻す。

市場に流通する中古住宅は「表面を見栄えよくリフォームしただけ」のものが多くなっています。従前の評価方法では、リフォームする/しないに関わらず中古住宅の評価額は大きく変わらないので、再販業者としてはリフォーム代をできるだけ安く抑えることが至上命題になり、結果的に「仕上げだけのリフォーム」に終始してしまいます。これから腐っていきそうな住宅でも、現にシロアリに喰われている住宅でも、うわべだけ見栄えよくして買い手をつけなければ儲からないということです。

しかし、評価方法が改められることに伴って、「性能を保証された住宅」はそうでない住宅よりも高い「適正な評価額」で売買できるようになります。逆に、たとえ仕上げがきれいになっていても、これから腐っていきそうな住宅や現にシロアリに喰われている住宅を高値で売ることはできなくなっていきます。

ヤドカリプロジェクトでは、仕上げだけのリフォームに終始せず、いわゆるスケルトンリフォームにより躯体の健全性を確保しながら、「住宅性能評価」等を利用して建築の性能を保証することで、安全で安心できる住宅へ改修したのち、それを「適正な評価額」で市場に戻します。

 

■空き家を再生し「地域の核」にかえる

ヤドカリプロジェクトで再生した空き家は、自らの住宅兼設計事務所として利用すると同時に、ミニコンサートや料理教室などのワークショップ、ヨガ教室などを開催し、近隣の方にも多く利用して頂ける「地域の核」として親しまれるよう企図しています。

空き家を再生し地域で親しまれる拠点を増やしていくことで、地域全体としても魅力を増していくことを目指しており、浜松では鴨江をその対象地域としています。

yoga

ヨガ教室

jazz

ジャズライブ

workshop

アップサイクル・ワークショップ

ocarina

オカリナコンサート

clarinet

クラリネットコンサート

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料理教室

 

■次の使われ方も見据えた改修

ヤドカリプロジェクトでは、「売買等により使い手が変わった後に、どのような使われ方をするか」も見据えた改修を行います。下図は、第1弾「がんばり坂の家」の改修設計に際して行った市場調査データ。周辺の人口動態や世帯人口、物件の需給状況なども調査し、次の利用形態をシミュレートしています。

research

第1弾「がんばり坂の家」では建築規模を鑑み、現実性が高い利用形態はSOHOと想定して、ワンルーム空間に改修しました。自由に間仕切ってSOHOとすることはもちろん、近隣事例にもある学習塾などとしても利用しやすくなっています。建築の耐用年数を想定し、除却までにどのような用途に転用されるか具体的に検討しておくことは、長く使われる建築を考える上で大切と考えています。

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SOHOとして利用する場合のイメージ

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昼間は学習塾,夜は住宅として利用する場合のイメージ

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間仕切りを立てて個室を設ける,家族向きの間取り改修案.

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建具やブラインドの開閉により,視線・光・音をコントロールできる.

 

■住み継ぎの実績

第1弾「がんばり坂の家」は、2021年3月に次の住まい手への住み継ぎ(売却)を行いました。

新たな住まい手は、若いご夫婦とお子さんの3人世帯です。空間の質や庭との関係性などをとても気に入って購入して下さり、日々楽しく過ごされています。

引き渡しの直前には、仲良くして下さったご近所さんへの挨拶回りを一緒に行いました。向こう三軒両隣だけでなく、ヨガやライブで通って下さった方にもご挨拶し、新しい住まい手をご紹介できました。こうした引き継ぎは普通の引っ越しではあまりないと思いますが、「暮らしを引き継ぐ」ためには必要なことだったと思います。

買主さんとは引き渡し後も親しく連絡を取らせて頂いていて、崖の裏にタヌキの家族が棲んでいるらしいだの、ご近所さんから仕入れた私たちも知らない情報を教えて下さいます(笑)。本当に良い買主さんに巡り合えました。

ここまでウェットな建築の引き渡しというのはほとんどないと思いますが、こうした引き渡しこそが、建築にとっても住まい手にとってもまちにとっても、理想というか、本来あるべきなのかもしれません。

KMR_after

 

■ヤドカリプロジェクト応援グッズ

  1. ロゴ入りTシャツ
  2. t-shirts
    カラー
    半袖 3,000円 2,800円
    長袖 3,200円 3,000円
    子供用 2,800円 2,500円

    全てプリント代・シャツ代込みの税込価格です。郵送の場合は郵便局のレターパックで送る予定で、シャツ1〜2枚迄なら360円、枚数が多くなると510円になる見込みです。ご購入希望の方は、ご希望のカラー/サイズ/枚数を弊社までご連絡下さい。

 

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